日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

日本人とは?


先日、離婚の相談にいらした方のお話を伺っていた時、その方の濁音の発音が曖昧だったため、中国出身の方かな?と思いながら聞いていました。名前は日本人っぽい名前でしたので、日本国籍を取ったのかしら?などとも思ったりして。ところが、家族の話などを聞く段になって、その方は東北地方出身の方であり、話の内容からも中国出身ではないことがわかりました。

なぜ気になったのかと言いますと、何しろ、海外出身の法律上の日本人というのはもちろん増加の一途なので、出身地というのは非常に重要になるからです。日本国籍があれば、法律的には何の問題もありませんけれど、家族に対する考え方の違いなどは当然あるので、考慮しなければなりません。


よく皆さんが「日本人」というものをイメージする時に混乱するのが、国籍上の日本人と、よく言われる民族上の日本人です。民族上の日本人というのが何を指すかというのは難しいものです。更には自然人類学的な違いもあります。

ちょっと前の日本は、国籍・見た目・言語などが基本的に一致している人達で構成されている社会が大部分でした。「日本人」と言えば、国籍上も日本人だし、見た目は東洋人的なそれだし、日本語が母語だし、とわかりやすかったのです。外国人力士などが日本国籍を取れば大きなニュースでした。それは、まあ日本国籍を取る壁が非常に高かったというのもあります(今でも高いのは確かですが)。

しかし、国際結婚が10組に1組とまで言われるようになって、明らかにそれは崩れました。まず、見た目で判断できなくなりつつあります。前にも書きましたがそれは子供の学校に行けばわかります。色々な人種が学校に混在するようになっています。国際結婚で生まれた子供は、日本国籍が取れるので、法律上も日本人です。基本、母語は日本語だったり、もしくはバイリンガルだったりします。また逆に、見た目日本人のようであっても、外国籍の子供もいます。

それから、日本でビジネスや結婚をして、日本国籍を取る人も増えました。前は日本国籍を取るには、いかにも日本人的な名前に変えることを迫られましたが、今はそのような縛りもありません。よって、特に中国系や朝鮮系の漢字の名前を持つ人は、その漢字が常用漢字や人名漢字であれば、そのまま使えるようになっています。また、ひらがな・カタカナもOKです。このような人は母語は日本語で無いことも多いですから、話をしてみると、日本人ではないな、と思うでしょうけど、法律上は日本人です。
日本人もかつては、海外に大量に移民として出ました。私の親戚にも日系カナダ人がいます。カナダに長く住み、もちろんカナダ国籍です。日本語も英語も話せるバイリンガルですが、その子供達は見た目は日本人のようですけど、日本語は話せません。

ハワイに行くと、日系人の多さを非常に実感します。でも、見た目ではなかなかわかりません。若い日系人の話す日本語は母語としてので日本語ではありません。買い物の時、日本語のできる店員さんと話をしました。しかし、その方は韓国から移住した人でした。日本人のお客が多いので、必要に迫られて学んだそうです。名札に「Satoshi Suzuki」と書いてあった人は、どう見てもポリネシア系でした。

韓国に行ったとき、日本語を話せる人の多さにはやはり驚きました。しかし、母語のように習わされた世代はもう町では見かけません。その中で、一人だけ母語のように日本語を話す若い店員さんがいました。名札はハングルで書いてあるので、私には読めませんでした。でも、どう聞いても母語としての完璧な日本語だったので、「あなた日本人?」と聞いたところ「在日です。」という答えが返ってきて合点がいきました。国籍上は韓国人でしょうけど、気の配り方や、言葉では言い表せない通じ合うタイミングは明らかに日本人的なそれでした。日本が、国籍付与について、アメリカのように生地主義であるなら、このような二世以下の在日の方にも日本国籍が自動的に与えられるのだろうに、と思うと何とも複雑な気分になったものでした。

これからは、日系人のように中国系日本人、韓国系日本人、フィリピン系日本人などのような人たちがますます増えていくでしょう。日本人は何かという概念を変える時が来ているのだと思います。