想像力の欠如

想像力の欠如という言葉は、大体人を非難する時に使われる言葉かと思います。「どうして、他人の立場を想像できないの？」という感じでしょうか。

しかし、この他人の立場を想像するというのは、実はかなり難しいことだったりします。他人の立場を想像するためには同じレベルの感覚や常識が必要だからです。極端な話、外国人の感覚や常識はなかなか想像できないですよね？それと同じことです。

夫の不倫相手に対して「どうしてこの人は、妻がいることを知りながら不倫なんてできるのだろう？」と多くの妻が思い、「妻の苦しみがわからないなんて想像力が欠如している」、と考えるわけですけど、一方で不倫相手がそういうことが平気でできてしまう、という感覚について理解できないのは妻が想像力が欠如しているから、とも言えるのです。

不倫相手にとっては、相手の妻は関係ない人です。妻への対処は浮気をしている夫がすべきことであって、妻の苦しみは自分の知ったことではなく、自分に責任があるわけがないと考えます（この考えはある意味正しいのですが）。それに不倫自体がいけないことだと思っていない人もたくさんいます（こうなると道徳観の違いになりますが）。

しかし、妻自身が不倫などということを自分がすることを考えたこともなければ、その感覚は全く理解できません。そういうことはしてはいけないことだとずっと思ってきたのなら、尚更です。

自分と違う考えの人のことはなかなか理解できないものです。とにかく、自分の感覚が常識的な感覚と思っていると、全く理解に苦しむことになってしまいます。この感覚の違いについては、私もしばしばご相談時に説明させていただいていますが、納得してもらうのにはかなりの時間を要します。

とにかく、自分の常識は全員の常識ではない、ということだけは頭の隅に入れておいた方が良いとは思いますよ。