日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

未婚率上昇に思う

未婚率は上昇の一途です。単に晩婚化が進んでいるだけではなく、生涯未婚の人も増えています。

選択的夫婦別姓制度に反対する保守の方は、「家族の崩壊」というのを主張しますが、その前に家族が形成されない状況になりつつあることをどう考えるのでしょうか。私は30代の「結婚願望の無い」女性何人かと話をしたことがありますが、その方たちはまずもちろん安定した仕事があり、そして、兄弟姉妹の数は少ないので、いずれは自分の親の面倒をみる必要がある、という方たちです。そして結婚に対しては別にいい人がいればしてもいい、という程度の考えであり、つまり、結婚はすべきものでも、したいものでも無いわけです。そこには結婚がいいものでも無かった母親の存在があるような気がしました。


話は飛びますが、私が事実婚に至った根源的なエピソードがあります。それは子供の頃に母から聞いた話。今年74歳になる母は農村の出身です。母は、農家のお嫁さんは可哀相なんだよ、という話の中で次のような話をしました。「昔、農家の結婚披露宴は自宅で夜通しやるのだけど、その間お嫁さんは何も食べずにずっと座っているだけ。そして夜が明けて宴がお開きになると、お姑さんに割烹着を渡されて、後片付けを全部一人でやるようにって言われる。私は垣根の隙間からそれを見ていた。農家の嫁にはなりたくないと思った。」そして、母は農家の嫁にはなりませんでした。こういうことの積み重ねが、かなり前からの農家のいわゆるお嫁さん不足につながっていると私は思います。これは確かに60年以上も前の話です。今はこんなことは無いでしょう。しかし「嫁」に対する意識はどうでしょうか。

私は、母の話を聞いた時、「何てお嫁さんというのは可哀相な存在なのだろう。私はお嫁さんにはなりたくない。」と子供心に思ったものです。更に我が家は二世帯住宅で、気の強い姑である祖母と気はやはり強いけど、まだまだ昔の嫁の役目もしてしまう母を見てきたことも大きかったとは思います。


現在、初婚で97%以上の女性が夫の姓に変えます。ただ、姓を変えただけなのに、相手の親にとってはそれがイコール「うちの嫁」になってしまう現実。嫁扱いによって女性が受けてきた苦痛。我慢してきた母親を見てきた娘達。このような息苦しい結婚生活を送りたくない女性と、そして積極的に送り出そうとしない母親の思いを社会は受け止めるべきです。

夫婦別姓や、法律上の結婚ではなくても緩やかなパートナーシップを認める社会(不倫を認めるわけではないですよ。念のため)。少しでも家族を形成するための後押しを制度によってしなければ、ますます未婚の人は増え、出生率も上がらないでしょう。保守の人は我が家には「嫁」がいてほしいのだと思います。しかしその意識を変え、制度を変えない限り、家族の崩壊の前に家族が作られない状態になっていくと思います。