赤の他人で一つの戸籍
世の中、「戸籍=家族」と思い込んでいて戸籍制度がさも大切なように主張する方がいますが、戸籍と家族が不一致な例はたくさんあります。今までにも幾つか書いてきましたが、最近見た事例で完全に赤の他人だけでできている戸籍がありました。
その例では、ABさんが、CDさんと結婚してCDさんが改姓し、ADさんになりました。その場合、ADさんはABさんを戸籍筆頭者とする戸籍に入ります。
さて、ここでADさんにはCEという子どもがいたとしましょう。結婚にあたり、子CEはABさんとは養子縁組をしなかったとします。でも、親が改姓してしまったので、ADさんは自分の子どもも同じ姓にした方が何かと良いのではないかと思い、家庭裁判所に子の氏の変更の申立をして、許可をもらい、子はAEになったとします。
この子AEは、親でもないABさんを戸籍筆頭者とする戸籍に入ることになります。続柄欄は、元々の親との続柄なので、それが二男であればそのまま二男となります。
ここまでは結構あることなのですが、この後、ABさんとADさんが離婚するとどうなるでしょうか。ADさんは離婚届出と同時にその戸籍を出て、自分を筆頭者とする戸籍を作ります。ADのままでもCDに戻ってもどちらでも構いません、。
それでは、その子AEは?
AEは何もしなければそのままなのです。そう、その戸籍には親ではない、親の元配偶者であるABとAEが記載されたまま。もちろんAEはまた家裁に氏の変更の申立をして、親の戸籍に入ることは可能ですが、そのままの例もあるのですよ。敢えて移す必要も無いということで。特に親が元の姓に戻らなければ、姓は親子一緒なのでまあいいかということもあるようです。
離婚に限らず、ADさんが死亡してしまっても同じことは起こります。ADさんは死亡により除籍ですから、戸籍に残るのはやはり親子関係が無いABとAEということになります。
戸籍が家族の象徴のように思っている方は考えを改めた方が良いですし、それ以前に「戸」籍ではなく、「個」籍にするべきだと本当に思いますね。マイナンバーで可能になったと思うのですけど。
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