自民党の考える家族の絆
伝統的な家族の絆を守るための政策を検討している自民党の特命委員会が、来年度の税制改正に向けて提言をまとめたそうです。
これには二つの内容があるのですが、その内の一つが配偶者控除の代わりに「夫婦控除」というものを設け、法律婚夫婦に税控除を行うというもの。この特命委員会は、配偶者控除廃止に反対している人たちがメンバーのようですね。
そしてこの制度の目的は「夫婦を中心とした家族の絆が希薄化するのを防ぐために、若い世代に、いわゆる『事実婚』ではなく、法律上の結婚を促すため」だそうです。
最初に読んだ時、全く失礼な話だと思いました。「事実婚=絆が薄い」というとらえ方をされているからです。何を根拠に絆が薄いと言うのかと。
ただ、この特命委員会の主目的は「伝統的な家族の絆」を守ることなのです。事実婚とか同性婚といった伝統的ではない家族は、嫌なのです。
しかし、この「伝統的な家族」というのはどういう家族を指すのでしょうね。伝統っていつからの伝統なのでしょう?江戸時代?武士の家の話?公家の話?それとも庶民? 上位の武士とか公家でしたら正妻以外に側室がいたし、庶民だってちょっと金があれば妾がいたし。
例えば明治時代の第4代&第6代内閣総理大臣の松方正義は、3人の妾がいて総勢20人以上の子がいたそうです。昭和であっても第64代・第65代内閣総理大臣の田中角栄は、やはり妾に子供がいて、正妻の子眞紀子氏と相続でもめていたことは記憶に新しいです。
法律婚重視ということは、こういう伝統は見ないことにするということでしょうかね。
私が思うにこの委員会の考える「伝統的な家族」なるものは、「夫の家に入る嫁」と「家を継ぐ長男」だと思います。つまり大事なのは「夫の家の継承」。これが基本で、女の子しかいないなら仕方がないから「妻の家の継承」も可。
基本的に「家が大事」で「男性優位社会」。つまり、戦前に戻したい?
驚いたのは、現在の日本では少子化が問題のはずなのにその視点が無いことです。少子化より法律婚をして家の継続が大事というのがあまりに的外れでびっくりです。
まさか、法律婚が増えれば子どもを産む人が増えると思っているのでしたら、救いようがなくトンチンカンですが。
でも、実現しないと思います。だって大きな額を控除するなら税収減ですし、小さな額だったら法律婚促進の材料にならないですから。
因みに第二の提言は、「遺言控除」。相続でもめないように遺言による相続は税控除するので、もっと遺言を作りましょうというもの。不出来な遺言だったらまたまた面倒なことになりそうですけど、どうでしょうね。
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