日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

相続手続きと戸籍

またまた、夫の父が亡くなった後の話です。

不動産や預金などの財産の相続手続きにあたっては、亡くなった方の戸籍(除籍)謄本が必要になります。それも最低でも10歳位から(一般には生まれてからと言われますが)死亡に至るまで全部です。それは、相続人を確定するためです。家族が知らない子どもが他にいないかどうかの確認のためです。

今生きている人で、一度も結婚をしていなくても、昭和23年以前に生まれた人は最低でも3通の戸籍を取る必要があります。それは法律の改正により作りかえ(改製)がなされているからです。昭和23年(戦後の民法改正による)と平成6年(戸籍の電算化)です。必ずしもこの年に戸籍が新しくなっているわけではありません。各自治体によって改製作業に要する時間が違うからです。

結婚をする時に夫婦双方共、元々戸籍筆頭者でなければ(多くの人は初婚の場合、親を筆頭者とする戸籍に入っている)そこで新戸籍を作りますので更にもう1通増えます。筆頭者じゃない方が離婚して親の戸籍に戻らず新戸籍を作れば更にもう1通です。


そして更に、戸籍の本籍地というのはどこへ移すのも自由なので、引っ越しに伴って移す人もいます。その方が戸籍を取る時に便利ですので、私自身も2度移しました。また、本籍地というのは日本国内であればどこにしても構わない(北方領土でも皇居でも、他人が住んでいる所でも)というものですので、本人とまったく関係ないところに移すことも可能です。

結構、家族であっても元々どこに本籍地があったかは知らないものです。夫の父の戸籍についても、最後の戸籍は現住所と同じ所にありましたので、その戸籍と平成6年改製前の戸籍はすぐに取れました。そして、そこから前の戸籍の取得を義母から頼まれました。義父は秋田県生まれなので、最終的にはそこにあるのではないかという話でした。

行政書士には「戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書」という書式があって、職権で戸籍や住民票を取得することが可能ですが、違法に使用する事件が多発したため、現在は取り扱いが厳しく職務上必要な理由が無ければ取ることはできません。


今回も少ない枚数ずつ取るのでしたら、正当な理由で取得可能でしたが7通ずつ取ってほしいと言われたので、職務上請求書は使用せずに息子である夫の名前で取ることにしました。


まず、最初は隣の市だったので、夫に委任状に署名をしてもらい直接市役所に行って取りました。7通ですと5,250円もかかります。
その除籍謄本を見ると、そのひとつ前の戸籍は23区の東の方です。取りに行くにはちょっと遠いので郵送で請求することにしました。郵送で請求する場合は、手数料を郵便小為替で送ります。そこではたと思うわけです。幾ら送れば良いのかと。昭和23年の改製の時もその区に本籍地があれば、7通×2で、10,500円必要です。一度請求してみて届いた戸籍を見てからもう一度送るのは馬鹿馬鹿しいですし。

区のサイトを見ると多めに送った場合は、小為替か切手で返金しますと書いてあります。切手で返金されるのは嫌ですけど、仕方がありません。10,500円分を送りました。

そして届いてみると、やはり昭和23年の改製時にもその区に本籍地があり、丁度の料金だったことがわかりました。更に、義父は確かに秋田生まれでしたけど、本籍地はその時もその区にあったということもわかりました。


しかしこうしてみると、本籍地を度々変えていると、相続の時に非常に面倒であることがわかります。

なので相続財産をそう簡単に渡すまい、と思う人は本籍地をどんどん変えてみると良いかもしれません(もちろん冗談です)。仮に毎年行く先々の旅行先に変えてみたり、毎年隣の市区町村にずらしたりして30回変えると、その戸籍を集める時間と手間とお金はとんでもないものになること請け合いです。


このことから見ても、戸籍の本籍地方式がいかに時代に合わない馬鹿げた方式であるかがおわかりいただけるのではないかと思います。10月からマイナンバー制度が始まりますが、いずれはこの制度に集約される可能性が高いですし、そうなることを私も期待しています(マイナンバー制度の良し悪しはまた別問題ですが)。