長男の嫁扱いにうんざりすると
最近、法律婚を解消して事実婚にしたいという方から時々相談を受けるようになりました。基本的にそれは女性からです。
事実婚にしたい理由は自分の旧姓を取り戻したいということではなく、相手の家と縁を切りたい、というのが共通している点です。
そして、その夫は基本的に長男です。
もうおわかりいただけたかと思いますが、長男と結婚して相手の名字になると、「長男の嫁」という扱いを受けるわけです。長男の嫁は、親の面倒を当然看ろ、別居していても正月のように親戚が集まる時は家事をしろ、男の子を産め etc.それも、夫や夫の親、或いは夫のきょうだいから「済まないね」という感じは全くなく、「当然でしょ」という言い方をされたりします。
ちょっと前まではそれが通用したかもしれませんが、今はそれが当然の離婚原因になります。それで、離婚するほど夫が嫌いではないと「事実婚にしようかな」と思うわけです。とにかく「長男の嫁」扱いを受けないためには、姻族関係を切るしかないと。
そして、それは長年「長男」として育てられてきた夫の意識改革を迫ることでもあります。夫は妻と別れたくなかったら、親より妻を大事にしないと、本当の離婚になってしまいますから。
親の面倒は妻ではなく自分が看る覚悟が必要ですし、どうしても手が回らなければ何とか妻にお願いし、感謝の気持ちを表さなければだめでしょう。
私の友人も長男の嫁扱いに辟易して、事実婚にはなりませんでしたが、もう3年以上も夫の実家に行っていないそうです。夫ももうその点は諦めて、毎月、一人で高齢の親の様子を見に行っているとか。これは親とある程度地理的に離れているから何とかなっている例ですが、近くに住んでいるとそうもいかないので、「事実婚にしよう」ということになるわけです。
そして、こういう理由で実際に事実婚にした女性にその後話を聞いたら、「事実婚になって、夫婦仲が良くなった」ということでした。夫の実家がらみの喧嘩が無くなったからだそうで、本当に「長男の嫁扱い」の罪深さを感じました。
もちろん、事実婚にはリスクもありますので、事実婚にする前には書面作成等のご相談をいただければと思います。
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