日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

事実婚のデメリット

ご存知、私は事実婚の形で結婚してただいま20年目です。
現在、民主党が実現するのかイマイチ曖昧な民法改正案の選択的夫婦別姓制度がもし制定されても、余程事情が変わらない限り、婚姻の届出はしないと思います。あの制度は私が望む形ではないからです。

世の中、ツイッターなどを読んでいると、選択的夫婦別姓制度に反対の人の中には「事実婚をやればいいじゃないか」と言う人がいます。でも、法律の保護という点では事実婚というのは、やはり不利な点が幾つかあります。

1.配偶者の相続人になれない。

 これはかなりのデメリットです。例えば私も夫と自宅不動産を共有していますので、二人とも遺言書を書いて、どっちが死んでも互いに贈与する形にはしています。もし、遺言書が無ければ私達の場合は子供に相続されますけれど、子供がいない夫婦ですと、親や、親もいなければ兄弟姉妹に相続されてしまいます。

2.相続税が割り増しになる。

 相続税には控除があるので、相続税を払う人は全体の4%程度と言われていますが、もし、払う場合は割り増しになりますし、それに配偶者には最低1億6,000万円の配偶者控除があるので、財産が多い場合はかなりのデメリットです。

3.所得税配偶者控除が受けられない。また、医療費控除も家族としての合算ができない。とにかく、税務署はこれについては譲る気は無いようです。

以上が法律上の財産的なデメリットです。
その他に財産的なことも含め、不便なこととしては、

4.生命保険の死亡保険金の受取人として、配偶者を指名できないことが多い。しかし、これは、遺言書で受取人変更を指定できるようになったため、かなり改善されました。

5.海外旅行保険の家族セットに入れない。でも、これは別々に入ってもそんなに損ではありませんし、必要なものだけ入れば割安なこともあります。

6.銀行によっては共有の場合、住宅ローンを貸してくれないところが多い。これは銀行に抗議すべきですが、貸してくれるところを探すのもかなりの手間です。


また、こうやって私自身が事実婚をしているため事実婚の離婚の協議書の依頼も結構あり、相談を受けます。この場合、かなり不利なことがあります。

7.離婚の年金分割

年金分割事実婚の場合でもできます。しかし、それはどちらかが第3号被保険者だった期間の分だけです。例えば、夫婦どちらとも厚生年金に加入している場合、法律婚ですと、その支払った双方の保険料を合算して分割割合を決めて、分割できるのですが、これが事実婚ではできないのです。だから、厚生年金に加入しているが、収入が少ない方の人は金額的にはかなり不利になります。

8.離婚の財産分与

これが、かなり問題です。例えば不動産を共有している場合、法律婚の離婚ですと、財産分与や慰謝料で一方に給付するという形であれば、贈与税などは常識的な範囲であれば発生しません。ところがこれが事実婚ですと、贈与にあたるというのが税務署の見解なのです。そうなると不動産の場合、かなり高額な贈与税が発生してしまいます。これを打破するには裁判所に離婚の財産分与と認めてもらう必要があるようです。


特に8番は最近私も知った事実でした。ご本人もかなりの衝撃だったようです。事実婚をなさっている人は十分に気をつけるべきでしょう。とにかくどんなカップルにでも離婚の可能性というのはあるのですから。


【追記】(2012/5/13)
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