堤清二さん
『無印ニッポン―20世紀消費社会の終焉 (中公新書)』堤清二 三浦展著
私と夫の本の趣味というのは殆ど一致しません。でも、気に入った本は薦めてきます。しかし、薦められても実際読むのはわずか。
この本は夫が買ってきて、実は薦められもせず本棚に収まっていたのを息子が引っ張り出したらしく、部屋に転がっていたのをたまたま手に取ったものです。薦めてこないのですから、夫的にはそれほどだったのでしょう。
私が手に取ったのは、面白そうな組み合わせだなと思ったため。対談本なので、あっという間に読めてしまいます。堤さんは、私が最初に就職した会社の社長でした。私がその会社に就職したのは、この堤さんの発想力と無印良品に魅かれたこと、そして会社の採用担当の女性が「この会社は男女平等です。」と言い切ったことが決め手でした(男女雇用機会均等法施行前年のことです)。社長の堤さんは入社式に遠くの壇上で見たことがあるだけです。話がとっても下手で驚いたことだけは覚えています。
今回この対談を読んで真っ先に思ったのは「堤さんってお幾つだったかしら?」という疑問。何と昭和2年生まれの今年82歳。これは夫とも意見が一致しましたけど、とても82歳の人が言っている話とは思えません。話の感覚が若くて本当に驚きます。
無印良品は堤さんが作り出したもの。その斬新さに胸ときめいて、1983年に青山にできた路面店第1号店には、大学時代によく通いました。コタツ布団のカバーを生成りのカバーに変えた時はすごく嬉しかったことをよく覚えています。堤さんの話によれば無印良品は「反体制の商品」なんだそうです。なるほど、私が気に入ったわけだ。堤さんは更に自分自身のことを「存在そのものがアイロニー。」と言っているところなんかがまた、多分私が堤さんを好きなところでもあると思います。