日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

身を引く

A=B…C
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この図は、私が不倫の相談をお聞きしながらいつも書く図です(実際はちょっと違うのですが、ここでは便宜上こう書きます)。AとBは夫婦であり、BとCは不倫関係。時にはCにも更に配偶者がいます。そして、AとBの間には子どもがいます。私はABCいずれの立場の方の相談も受けているので、どの立場の方も一般的な心理状況については、大体理解しているつもりではあります。

BとCは単なる火遊びの場合もあるし、本気モードの場合もあります。火遊びは遊びなので、終わる時は簡単に終わります。問題はもちろん、本気モード。本気モードと言うよりは、思い込みモードと言ってよいのかもしれません。特にBの思い込みは通常の思考能力を失っている状態であり、Cとの恋を「運命的な出会い」などと思ってしまっています。恋という病の威力は凄まじく、Aと離婚してCと一緒になりたいと猛然と思うようになるわけです。

一方Cは、最初からBのことが好きだった人、Bからアタックされてつきあうようになってしまった人、いろいろありますが、Bから「Aと離婚するから結婚しよう。」と言われてすっかりその気になってしまったとしましょう。しかし、Aは当然ながら簡単には離婚に応じません(もちろん、Bの言葉が単なる嘘のこともあることは、前にも書きました)。

こういう場合Cは、AのことはBがどうにかしてくれると思います。また同時にAは私には関係ない人である、と思うのが普通です。現在の判例上Cは通常、Aから慰謝料を請求される立場にありますが、自分がBと別れなければならない理由がないと思う人も少なくありません。なかには困難なことが起きようとも、二人で頑張ってそれを乗り越えることに価値がある、私とBの結びつきの方が、AとBとの結びつきより絶対強い、などと思う人もいます。

しかし、Cは冷静に考えることが必要だと思います。AからBを奪って一緒になる自分。そういうことが自分にとっても幸せなことでしょうか。まして、AB間に子どもがいる場合、その子から親を奪うことになります。幾ら離婚家庭が増えようが、やはり離婚しないで済めばその方が子どもにとっては良いことは確かでしょう。それは小さい子に限りません。親が自分たちを捨てて、違う相手の元に走る。思春期の子どもたちの葛藤もまた大きなものです。

「運命的な出会い」というのは、おおかたただの幻です。恋に制約があるから燃え上がっているだけです。一緒になればありきたりの夫婦の関係になるだけです。そうなるとBは、また恋をしたくて不倫に走ったりします。

「身を引く」という言葉がありますが、Aや子どものことを思って身を引くという人が減ってきたように思います。身を引くとしてもその理由が、いつまでもABの離婚を待っていられない、自分が年を取ってしまうから、という方が多いです。

自分の恋の成就や幸せのことばかり考えずに、Aや子どものことを思って身を引く、という選択肢もCは考えてみるべきです。Cが身を引くことによってBがあっさり家庭に戻るということもよくあることなのですから。