日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

戸籍の無い子にも住民票を

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070601-00000007-maip-soci

昨日の東京地裁の判決は現実的な視点から出た良い判決でした。戸籍が無ければ住民票が作れないというのは、行政の建て前主義の表れみたいなものです。戸籍と住民票というのは別な性質のものなのですから。

今回は、事実婚の親が出生届の「嫡出でない子」へのチェックを拒み出生届が不受理となったことから戸籍が無いわけで、今、問題になっている離婚後300日以内に出生した子の戸籍が無い問題とは違いますが、住民票の作成を命じる判決が出たことは、その子達にとっても良い流れになると思います。

さて、この判決に対して、「親のわがまま」とか「ルールに従わない方が悪い」とか言う方がいるようですが、それは短絡的な考えです。法律とか制度はそれが常に絶対的に正しいわけではありません。どこかしら欠陥があるものです。また、時代の流れによっても変わっていきます。こういう裁判を起こすということは、それらの制度に疑問を投げかけるという点ですごく大事なことなのです。

上記のニュースサイトの写真で記者会見をしている原告の菅原さんの隣に座っているのは、多分かつて「住民票続柄裁判」の原告だった福喜多さんだと思われます。この福喜多さんらの裁判によって、住民票の子どもの続柄記載が嫡出子は「長女」・「長男」等で、非嫡出子は「子」だったものが、現在のように「子」に統一されるようになった、と言っても過言ではないと思います。(戸籍も当然そうすべきだと思います)

住民票は基本的には他人の目に触れるものです。そして、その記載によって非嫡出子であることが歴然、という差別的な状態だったのです。あの裁判が無ければ、現在もそのままだったのではないでしょうか。制度は、その欠陥に対する共通理解が生まれれば変わっていくものです。

身近な例えを挙げれば、かつては多くのところで、男子中学生は校則により嫌でも丸刈りにしなければなりませんでした。校則に従わない方が悪いということになっていました。しかしその後、人権侵害だと問題となり、多くの学校で改正されています。法律も同じなのです。これは問題だ、という人がいなければそれは改正されません。だから短絡的に「従わない方が悪」とは決して言ってほしくはないです。

今回の裁判も、元はと言えば、嫡出子と非嫡出子という差別が根本的に許せなかったというところに起因しているようです。私も民法のこの差別条項の改正を本当に強く望んでいます。