遺言の書き方
書店の暮らしの法律コーナーに行くと、たくさんの「遺言の書き方」の本があります。内容はどれも似たりよったり。遺言書の種類や、相続の制度、有効な方式、遺言書の文例、相続人の対処法や自分に有利な遺言を残してもらう方法。更にはトラブル例など。
遺言を残そうとする方は、こういう本を参考にすることも多いかと思います。確かに自分の財産は遺言によって、基本的には望み通りに処分してもらうことは可能です。そして子どもに残す場合には、可愛い子、世話してくれる子、疎遠な子など色々いれば、差をつけて残したくなるのもわかります。
でも、差をつけられた方の気持ちはどうでしょう。絶縁状態であっても、実はとても親を思っていることもあるでしょうし、とてもよく世話をしてくれても財産狙いのこともあります。
そして親の死後、遺言が出てきて、兄弟間で相続財産に大きな差があった場合、少なかった子どもが実はとても傷ついてしまう時もあります。「親はそういうふうに自分のことを思っていたのだ」という具合に。そして仲が良かった兄弟の間にも、どうしてもひびが入ってしまうものです。
多くの遺言の本は、こういうことに言及せずに文例を載せています。兄弟間で差をつけたい事情があるなら、せめてその理由も遺言の中で明らかにして、相続人が納得できるようにしてほしいと思いますし、遺言の本でもそこまで書いておくべきなのではないかと思います。